短い区間では「数千円」、ときには「数百円」というフライト料金もあるLCC。
安いとなると、いちばん心配になるのが「本当に安全なのか」という問題だ。運賃が安いLCCはそれだけ事故率が高いのだろうか?
LCCの安全性について確認しておこう。
LCCの「激安」ともいえる料金設定を見ると、安全面での手抜きはないのだろうか、と不安に思う人もいるかもしれない。
しかしLCCが安いのは、「LCCはどうして安いのか?」のページで解説したような合理的な理由がある。整備面を怠っているわけではないのだ。
欧米では国の厳しい安全基準が設けられており、安全面ではレガシー・キャリアとの違いはほとんどないといっていい。
欧米以外の地域では、国によって安全基準に多少の違いがあったりはするが、たとえばタイガーエアウェイズ(シンガポール)は、親会社であるシンガポール航空と、同じ機種、同じ整備システムを利用しており、けっして不安に思う必要はない。
調査会社などのさまざまな機関がエアライン別の事故率を発表しているが、レガシー・キャリアとLCCとの事故率に、大きな差は見られない。
たとえば、LCCの代表格、サウスウエスト航空(アメリカ)、ライアンエア(アイルランド)、イージージェット(イギリス)は、創業以来、乗客・乗員の死亡事故はゼロだ。
やや古いデータだが、2007年にイギリスのフライトセーフ・コンサルタンツが発表した「航空会社安全度ランキング」では、ライアンエアとイージージェットが、それぞれ5位と6位。サウスウエスト航空もベスト50に入っている。
アジアのLCCの代表格であるエアアジア(マレーシア)も、創業以来、大きな事故は起こしていない。
いくら安さを売りにしても、他社に比べて事故率が高ければ客は離れていき、自然に淘汰される。
たとえば、アメリカのLCCとして人気のあったエア・フロリダは、80名弱もの乗客・乗員が死亡する航空機事故を起こしたため、事故の2年後に倒産した。
また、インドネシアのアダム航空は、2007年に墜落事故を起こして、運航停止となった末に倒産した。
このような事故例を挙げると、さらに不安に感じる人もいるかもしれないが、大きな事故を起こすエアラインは、元々、小さな事故を頻発して問題になっていた。
「長年小さな事故もなく安全に運航していたのに、いきなり大きな事故を起こした」というケースはめったにない。
だから、あまり名前を聞いたことがないLCCを利用するなら、事前にネットで情報を探してみるといい。事故率のランキングや、クチコミの情報などを得ることができるはずだ。