航空券手配の基礎知識

公開日 : 2022年12月08日
最終更新 :

海外旅行で同じ目的地に行くなら、なるべく安く行けたらそれに越したことはないですよね。でも、その国に行く航空券の相場観がないと自分が得しているのか、損をしているのかがなかなか分からないもの。ここでは、予約サイトを利用するコツや航空券の見方、用語などを紹介します

目次

航空券手配のコツ

格安航空券を購入する手順には大きく分けて

①予約サイトで手配
②旅行会社で手配 の2通りがあります。

現在は予約サイトの利用が一般的ですが、基本的な価格への考え方は一緒なので、本稿では初心者向けに旅行会社での手配を念頭に説明していきます。

ピークシーズンは早めの手配を

旅のおおよその時期と期間を決めたら、すぐ航空券の手配をスタートしましょう。

基本的な考え方として、同じ飛行機に乗りたい人が多い場合、航空券の値段は高く設定されます。特に年末年始やゴールデンウイーク、夏休みのお盆時期などは人が旅行に行きやすい時期なのでできるだけ早めの予約を心掛けたいですね。予約は遅くとも2、3か月前、もし、旅行期間が固定されている場合はもっと早く予約しても遅くはありません。ピークの時期に係わらず、直前に航空券を予約して安くなるケースはほぼなく、一般的に早い予約の方が安くあがることが多いです。例えば、1週間後に直行便でパリに行くチケットを検索すると、往復40万円以上の合計金額になりますが、半年以上先の直行便なら24万円以内に収まる、といったことが起こります。(既に予約している方が多く、少ない座席を打っているので価格が上がる、という理解でよいと思います)近年では、燃油サーチャージの値上げで飛行機に支払う総額は高騰が続いているので、なるべく早く予約をして旅行予算を圧迫しないようにしたいですね。

シーズナリティの基礎知識

海外航空券を購入する際に気にしたいのがシーズナリティ(季節性)です。日本で航空券がもっとも高くなるのは、年末年始、ゴールデンウイーク、夏休みのお盆時期などの大型連休あたり。これらの時期は旅行者が集中するため、どのエリアも航空券が値上がりします。

さらに海外航空券の場合は海外の大型連休も気にする必要があります。アジア圏の旧正月や欧米のサンクスギビングのホリデーなどです。この時期は、日本人の観光客が少ないシーズンであっても航空券の値段が上がります。渡航する国の祝祭日をチェックして少し時期をずらすなどできれば航空券の料金を抑えることができます。

シーズナリティによる価格は、かなり細かく設定されているため、1日の出発日をずらすだけで大きく異なることもあります。日程を移動することが可能であれば、航空券代を安く上げる可能性が高まりますので、知識として持っておいてください。

予約時に必要な項目

航空券を予約する際に、旅行会社に伝える項目は下記のとおり。

(1)出発日と帰国日
これが決まっていないと予約は不可能です。会社によっては第2、第3希望を聞かれることもあります。復路のフライトを決めないオープンチケットの場合でも、おおよその日程は決めておき、何日間有効の航空券が必要なのかを計算しておきましょう。その際、帰国予定時期の混雑度を確認しておくとよいでしょう。

(2)目的地と希望する航空会社
乗ってみたい航空会社がある場合は、先に伝えておきましょう。特に希望がなければ、目的地を伝えます。価格はもちろんですが、出発時間や到着時間、現地までのフライト時間、また、乗り継ぎ便の場合は、乗り継ぎ地での待ち時間なども確認した上で、航空会社を選びましょう。

(3)名前
気をつけたいのが、ハネムーンなどで姓が変わるとき。入籍は済ませたが、パスポートの名前を変更せずに出発するのであれば、航空券も旧姓で予約しましょう。国際線の飛行機は、搭乗前のチェックイン時に航空券とパスポートのチェックを受けます。このとき、航空券にアルファベットで印字された名前とパスポートのスペルが違っていると搭乗を拒否されます。とにかく航空券はパスポートと同じ名前で予約することが大事なので、確認はしっかりしたいです。(以前は、パスポートの名前の表記はヘボン式で統一されていましたが、法律が改定され、例えば大野という姓の場合、「ONO」、「OHNO」のどちらでも申請可能になりました。例えば航空券を電話で予約する際には、名前の音だけで依頼すると、担当者はヘボン式で予約を入れてしまう恐れがあるので、必ずパスポートと同じスペルを正確に伝えるようにしましょう)

予約をする

●予約確認書をチェックする
上記項目を旅行会社に伝えると、担当者は予約を入れる。その場ですぐ予約OKという返事がもらえることもあるが、2〜3日以内には回答がある。予約できた場合、担当者から予約確認書が送付されてくるので、名前のスペルなどデータに誤りがないかを十分確認すること。

●キャンセル待ちになることも
混雑していて席が確保できない場合は、キャンセル待ちとなり、ウェイティングリストに名前が載ります。ですが、ここであきらめることはありません。団体ツアーが座席をおさえているためにその時に満席でも、何日か後に空席がある場合もあります。また、旅行会社によっては、複数の航空会社に予約を入れてくれることもあります。座席が確保できたら旅行会社が指定した期日までに代金を支払いましょう。

最終確認と航空券の受取

出発の2週間から10日前になると、旅行会社から最終確認が入ります(会社によっては無い場合も)。連絡が無くても、自身のスケジュールなどに変更が生じたらすぐ連絡を入れましょう。ほとんどの航空会社は紙発券を行わないEチケットに移行しています。この場合は、メールで予約番号等が送られてくるので、番号を控えて空港に向かいましょう。

航空券の種類

旅行者が利用する一般的な航空券の種類は、正規割引航空券か格安航空券のいずれかでしょう。格安航空券が一般的ですが、旅行のスタイルによって正規割引航空券が必要な方もでてくると思うので、おさらいしておきましょう。

正規割引航空券

正規割り引き航空券(ゾーンPEX運賃)とは、IATA(国際航空運送協会)が決めた運賃をもとに、各航空会社が独自に価格を設定する航空券です。価格帯の下限が「IATAが定めた料金の70%引きまで」と決められています。出発直前まで購入可能なスタンダードなタイプと、決められた期日までに購入すればより安くなる早割タイプがあります。
また、インターネットで購入する場合、さらに割り引きとなるWEB割り引きなど航空会社によっていろいろな割り引きサービスを展開しているので、航空会社の公式サイトにアクセスして情報を入手するとよいでしょう。

●メリット
便名指定が確実にできる。また、座席を事前に指定できる確率も格安航空券より高い。
正規割引航空券だけに、ピーク時の予約も取りやすく、キャンセル待ちの場合も順位が高い(キャンセル待ちができないタイプの航空券もある)。
復路便の予約変更が可能なものがある(手数料が必要な場合がある)。
子どもの運賃が明確。2〜11歳の小児は33%割り引き、また、座席を使用しない2歳未満の乳幼児は90%割り引きとなる。
キャンセル料が一定。エリアによるが、出発直前のキャンセルでも5000円〜3万円。
購入が航空会社でも旅行会社でも可能で、どこで買っても価格は同じ。
「往路は日本航空、復路はエールフランス」というように、共同運航便の航空券なら往復異なる航空会社を利用することもできる。
日本国内主要都市からは追加料金なしか、わずかな追加料金で利用できることが多く、地方在住者の場合、トータルで考えると得なことが多い。
ほとんどの場合、航空会社のコンピュータ上で航空券を管理する「eチケット」(航空会社のコンピュータ上でチケット内容を管理するタイプで、紙のチケットは不要となる)なので、便利で安全。
●デメリット
一部の路線や時期を除き、格安航空券に比べると料金が高い場合が多い。

格安航空券

旅行会社が宿泊や送迎など旅行パーツを組み合わせて販売することを前提にしているのが格安航空券です。旅行会社によって価格は異なり、航空会社で直接購入することはできません。

●メリット
低価格である。
予約後の購入制限が正規割り引き航空券と比べて緩やかな商品が多い。
●デメリット
利用する航空会社の変更や払い戻し、予約内容の変更などが不可能。低価格な分、制約が多い。
事前の座席指定ができない場合が多い。
出発直前のキャンセル料が高い。
子ども料金の設定がないものが多い(大人と同額)。

航空券の見方と用語集

航空券の見方

海外航空券の表記は基本的には英語表記です。予約内容を覚えていれば中身をみれば理解できるものが多いですが、戸惑わないように、航空券に書かれている情報の意味をおさらいしていきましょう。

©iStock

①Passenger Name / NAME OF PASSENGER: 搭乗者名
搭乗者の氏名が記されている。パスポートの記載と同一でなければならない。

②FROM:出発地
③TO:目的地
出発地と到着地が記されている。例えば成田空港発ソウル仁川空港行きの場合、FROMがTOKYO / NARITAでTOがSEOUL / INCHEON。

④CARRIER : 航空会社
航空会社名がキャリアコードで記されている。

⑤DATE:日付
⑥TIME:時間
出発地の搭乗日付と時刻が表記されている。一番先に確認したい。

⑦ FLIGHT:便名

⑧SEAT:座席
機内の座席が表記されている。

⑨GATE:搭乗ゲート
空港で搭乗するゲート番号が表記されている。

⑩BOARD TILL:搭乗締切時間
この時刻までに税関、セキュリティチェック

このほかにも以下のような表記があるものがある。

CLASS:クラス
座席のクラス名が記されている。エコノミーはM、Y、Wなど、ビジネスはC、Jなど、ファーストはF、Pなど。航空会社によって異なる。

ISSUED BY: 航空会社名
利用する航空会社名が記されている。スケジュール欄などで航空会社名を記す場合はキャリアコード(2レターコード)が使われる。

DATE OF ISSUE: 発券日
航空券が発券された日付が記入される。この日付がないと、航空券は無効になる。

RES.: 予約状況
OKは予約済み、RQはリクエスト、OPはオープンの状態。搭乗する際はOKになっていなければ搭乗できない。

RESTRICTIONS: 利用条件
このチケットを利用する際の条件が記されている。この場合はVALID ONLY FLT / CLS / DTE SHOWN(記載されたフライト、クラス、日付のみ有効)。

ALLOW: 無料手荷物許容量
無料で機内預けできる荷物の重量がK(kg)で記されている。

DOCUMENT NUMBER: 航空券番号
この番号を控えておくと、航空券を紛失した場合の再発行がスムーズ 。

そのほかの航空券用語集

●ツーレターコード
アルファベットや数字を組み合わせた2文字から成る航空会社の略号。チケットの便名のところにも書いてある。3文字で表す「スリーレターコード」もある。日本航空なら「JL」、エールフランス航空なら「AF」など。

●トランジット
乗り換えや経由のために一度空港で降りること。経由便の途中寄航地でも乗客は機内から出てトランジットエリアで待つのが一般的。

●リコンファーム
次に乗るフライトや帰国便の予約再確認のこと。出発の72時間前までに済ませなければならない。怠ると席がキャンセルされてしまうこともある。近年ではリコンファームの必要がない航空会社がほとんど。後述のオーバーブッキングを避ける意図などでリコンファームする必要がある場合は、到着時の空港で済ませると便利だ。航空会社のオフィスに電話を入れるか、直接カウンターに出向いて済ませよう。航空券を提示して「Can I Reconfirm?」と言えばいい。電話の場合も同様。次に予約してある便名、フライト日、出発地、名前を告げる。この際、滞在先のホテルの電話番号を聞かれることが多い。何かの事情で搭乗予定のフライトがスケジュール変更になったり、キャンセルになったりした場合に連絡をするためだ。

●直行便・経由便・乗り継ぎ便(トランジット)
同じ目的地に行くにもパターンは複数ある。どこにも寄らずノンストップで行くのは直行便、最終目的地まで便名は同じだがいくつかの空港に立ち寄るのは経由便、途中どこかで乗り換えをし、便名も変わるのは乗り継ぎ便。

●OPEN(オープン)チケット
有効期間内であれば日程を決めないで出発できる航空券。最高で1年間有効なものがある。また、フィックス・オープンという、行く前に一応予約を入れておくが、現地で便を変更できるチケットもある。

●FIX(フィックス)チケット
出発前に全便の予約を確定しておく必要のある航空券。予約変更は不可。自由がきかない分、価格はOPENチケットより安い。

●ストップオーバー(途中降機)
目的地までの途中、あるいは帰りに立ち寄った乗り継ぎ地で滞在すること。正確には24時間以上滞在することをいい、スケジュールの遅延などで24時間を超えた場合、それは乗り継ぎのための寄航であってストップオーバーではない。

●オープンジョー
行きの到着地と帰国便の出発地が違うタイプの旅行のこと。行きはパリに着いて帰りはロンドンから帰国するといったものをいう。「ジョー」というのはあごのことで、旅行ルートがあごを開けた形になることからきている。

●共同運航便
共同運航便とは、複数の航空会社がひとつの飛行機にそれぞれの便名をつけて運航する便のこと。例えば、スターアライアンスに加盟している全日空の場合、アメリカ路線ではユナイテッド航空、ヨーロッパ路線ではルフトハンザ ドイツ航空との共同運行を行っているフライトがある。こうした共同運行便には、全日空の機材を使用していても、ユナイテッド航空xxxx便といった便名がついている。成田空港の場合、同一アライアンスの航空会社は同じターミナルに顔を揃えている。もし、ユナイテッド航空の機材で運航される全日空サンフランシスコ行きの航空券を持っているとしたら、ユナイテッド航空のチェックインカウンターで手続きを行うことになる。ただし、利用するフライトによってはターミナルが変わることもあるので、事前に航空会社に確認しよう。
【参考リンク】
スターアライアンス http://www.staralliance.com/ja/
ワンワールド https://ja.oneworld.com/enja/
スカイチーム http://www.skyteam.com/ja/

●ハブ空港
「ハブ」とは車輪の車軸のことで、国際線と国内線乗り継ぎができるなど、拠点となる空港を指す。ここを中心に放射状の路線網がある。ハブ空港は航空会社によって異なる。

●燃油サーチャージ
「燃油特別付加運賃」ともいい、燃油価格の一部を乗客が負担する追加的な運賃。航空運賃にプラスして支払う。金額は、シンガポール・ケロシン市況のジェット燃料価格を基にして各航空会社が独自に決定し、公式サイトなどを通じて告知。その額は2〜3か月ごとに見直しを行っている。日本発の場合、同じ目的地であればほとんどが横並びの価格だが、航空会社によって数千円の差があるデスティネーションもある。航空券を購入する前に燃油サーチャージについてもリサーチしておきましょう。

●オーバーブッキング
チェックインカウンターで「席がない」と言われることがまれにある。これはオーバーブッキングといい、航空会社が座席数以上に予約を受け付けてしまった結果起こる。オーバーブッキングは、100%航空会社の責任。もし、遭遇してしまった場合、は以下のような対応を求めよう。
(1)同じ便の別のクラスに変更
エコノミークラスでオーバーブッキングに遭った場合、同じ便のビジネスクラスに空席があれば、そちらにアップブレードされる。このパターンがもっとも多い。

(2)同じ航空会社の別便に変更
搭乗を予定した便に空席が無い場合、同日の遅い便や翌日のフライトに変更される。遅い便になったときの食事代、翌日便に回された場合の宿泊費などはすべて航空会社の負担となる。

(3)同日の違う航空会社のフライトに変更
同一目的地に飛ぶ他の航空会社のフライトに振り返られる。格安航空券は、原則として他社への変更はできないが、オーバーブッキングの場合は例外。

(4)席を譲ってもらう
(1)〜(3)のどの方法もとれないが、どうしてもその便に乗りたい場合、すでに搭乗券を持っている人から譲ってもらう。この場合、席を譲った人は(2)または(3)の方法でフライトを変更し、さらに航空会社から補償金が支払われる。

リコンファーム(予約の再確認)をしておくことでオーバーブッキングを避けることができる。また、早めにチェックインするのもオーバーブッキングを防ぐ方法のひとつ。アップグレードを期待して遅めにチェックインする人もいるようだが、無用なトラブルはなるべく避けるようにしよう。

筆者

地球の歩き方ウェブ運営チーム

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